ダンス入門

社交ダンスワルツの生い立ちをご存知ですか？　社交ダンスワルツ自体はもちろん愛好者が多いのですが、その生い立ちはかなり興味深いものがあります。
社交ダンスワルツの生い立ちを知ると、より深く楽しめるかもしれませんね。ということで、今回は社交ダンスワルツとその歴史について触れてみたいと思います。

社交ダンスワルツとは、一番最初に誕生した社交ダンスのことであり、ヨーロッパの民衆によって踊られていたダンスがその起源だと言われています。
社交ダンスワルツには、フランス南東部地中海沿いの地域であるプロヴァンス地方で踊られていたヴォルトというダンスが起源だという説と
南ドイツからオーストリアにかけての民族舞踊レントラーというダンスが起源だという説の２通りあります。
社交ダンスワルツは、12世紀頃から次第に王侯貴族たちが愛好し始め、ルネサンスの時代になると、ヨーロッパ中で大流行しました。
現在の形は、18世紀後半に、ウィンナワルツで、ペアになった一対の男女がクロースホールドで踊るようになって確立しました。
その後ヨーロッパ諸国の宮廷の舞踏会でも、主に若者を中心に社交ダンスワルツが大人気となっていきました。
しかし、社交ダンスワルツは男女が抱擁する形でのダンスであるため、年配者や宗教関係者からの強い反発を受けてしまい、何度も禁止の憂き目にあうことになります。
ヨーロッパ大陸では、それまでの宮廷舞踊に混じって、典礼儀式などの機会に社交ダンスワルツが取り入れられてゆきました。
このように、社交ダンスワルツはだんだん上品化されてゆき、19世紀のワルツ好きのヴィクトリア女王の時代になると、
イギリスでも社交ダンスワルツに対する偏見はなくなっていったのです。
20世紀には、カッスル夫妻が、これまでの爪先だけで踊るスタイルから、ヒールで歩く新しいスタイルを確立させました。
これによって、社交ダンスワルツの優雅さは更に増し、イギリスでは競技ダンスとしても確立していったのです。

社交ダンスワルツの歴史を見てみると、世の中の文化や風俗の面で何かが流行りだして、それが普及していく様がよくわかるような気がしますね。
最初は民衆のものだった社交ダンスワルツが、王侯貴族に伝播し、徐々に踊り方のスタイルも確立されていき、現在に至っています。
社交ダンスワルツが人々に愛されてきたその人気のほどは、これだけの長い歴史に裏づけされているといっても良いと思います。